不純な理由で近づきました。
*みんなで楽しく旅行します
「―――で、今に至るんだ」
「……そうだね」
「りっちゃんも大変だったねぇ」
クスクスと笑いながら運転するナルちゃんを横目で見る。
いつもここには兄さんが座ってたからなぁ。
こういう角度でナルちゃんを見るのはちょっとだけ新鮮。
いっしょに旅行しましょう発言から数時間後。
有言実行と言いますか、ナルちゃんと兄さんがそれぞれに旅行の準備をしてカインくんの家にきた。
新幹線の代わりに兄さんたちが車の運転をしなきゃではあったけど。
わたしや恭くんはなんの準備もしていなかったのでムリだと言ったが、
「あら、六花ちゃんの服はお姉さんたちが向こうで買ってあげる〜!!」
なんていうお言葉によって却下された。
恭くんも然り。
お互い苦笑してしまったのは仕方がない。
それぞれ車に乗り込み、今は目的地に向かっている。
余談ではあるけど、車に乗るときに兄さんの車はいやだとわたしとユスラさんが言って一悶着あった。
わたしはただたんに兄さんがちょっかいをかけてきそうだから嫌だという理由で。