不純な理由で近づきました。
兄さんの匂いって不思議と落ち着くんだよね。
小さいときから嗅ぎ慣れているからかな。
「はーい、トモ。りっちゃんといちゃラブしなーいの」
「黙れナル!!もとはと言えばお前が六花を……っ!!」
シャーッと威嚇同然でナルちゃんを睨み付ける兄さんに、わたしは呆れた視線を送る。
精神年齢はいったい何歳なんだと言いたい。
「みんなー、はやく入りましょぉー」
遠くから聞こえたイリアさんの声でなんとかこの場はおさまって。
とりあえずホッと息を吐いた。
兄さんにぎゅうぎゅうされながらも旅館に入り。
どうやら大きな部屋を二つ予約していたらしい。
「じゃあ六花ちゃんはこっちね!」
「……はい?」
ふわり、と感じたのはイリアさんの甘い香り。
花の香りに似てるな、と今更に思った。
「なんで!?俺と六花は家族…」
「普通に考えてみたら男と女でしょう?
部屋には露天風呂もついているもの〜」
その言葉に思わずぎょっとしてしまったわたし。
え、それってすごく特別というか。
一泊だけでもすごい額になりそうなのですが……