不純な理由で近づきました。



顔を少し青くしているわたしなんて関係なく。



「一緒にお風呂入りましょーねぇ」


「六花ちゃんは頂いていくわ」


「とっ、TOMOさんの話、たくさん聞かせて下さいっ」



という女三姉妹に連れていかれた。




「はぁい、ここがあたしたちの部屋よぉ」



どうぞーと言われて中に入る。


聞いたところ兄さんたちの男性陣はこの上らしい。


いやいやそれよりも、



「すごい部屋……」


「そうかしら?」



そうですよ、と間髪入れずに心の中で突っ込みを入れる。


こんなの、テレビや雑誌の中でしか見たことがない。


大きな和室に広い庭の見えるガラス窓。


ししおどしと池まで見えるのですが。



呆然とするわたしの腕を、いつの間にか回っていたイリアさんとサユさんが掴む。



「じゃあさっそく」


「お風呂に行きましょうか」


「………え」



視界に映した二人の顔はニヤリと笑っていて、背筋が凍った。





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