不純な理由で近づきました。
「そ。意識はされてると思うけど、オトすにはちょっと足りなさそうだし」
「っ、」
ちち、近いっ
吐息が………!!
慌てるわたしとはうってかわって恭くんは余裕な顔。
おまけにクスクスと笑っていて……ちょっと悔しいような。
「あ、これ、六花に対しての宣戦布告な」
「……はい?」
思わずポカーンと恭くんを見つめる。
……どうやらわたしは、宣戦布告をされたらしいです。
でも、よく分からない。
なぜ宣戦布告?
何に対しての宣戦布告?
気になるところはたくさんあるものの、今は無理だ。
もう何かを深く考えられるほど頭が働かない。
頭の中、ほとんどを占めているのはさっきの甘い余韻。
「ちょっと冷たいな。そろそろ戻るか」
「は、はい……」
さりげなく繋がれた右手にドキリとする。
あ、恭くんの手、あったかい……
「もしかして、お風呂上がりですか?」
よく見ると、恭くんの髪ちょっとだけ濡れてる。
「あぁ、うん。大浴場行ってた」
「そうなんですか」