不純な理由で近づきました。
気まずいような雰囲気の中、すっくと立ち上がったのが1人。
「りっちゃん、すっごく似合ってる」
ニッコリとマシュマロのような笑顔を浮かべたナルちゃん。
ぽん、とわたしの頭の上に手を置き、ゆるゆると褒めるように撫でる。
いや、それより、
「本当に……?」
だって、兄さんとかあの通りだよ?
まるでこの世の終わりを見たかのように固まってるんだけど。
ほら、微かに目も潤んで………あれ?泣いてる?
「だいじょーぶ。トモはこーんなかわいいりっちゃん見れて感激してるだけだから」
え、そうなの?
そんなことで感激するなんて。
わたしが言うのもなんだけど、もっと洒落た格好して耐性でもつけてあげないといけないかも。
予定はないけど、わたしが結婚するときとか……なぜか父さんでも母さんでもなく号泣する兄さんが目に浮かぶ。
「ふふ、ごはん食べたあとオレの部屋においで?」
ぽんぽんと頭を軽く撫でられ、わたしはナルちゃんを見上げる。
「せっかくかわいい格好してるしね。
オレが髪の毛いじってあげる」
ニコニコと嬉しそうに笑うナルちゃんにこっちまで笑顔になる。