不純な理由で近づきました。
鏡の中にはカチューシャのように大きめに編み込まれた髪。
ナルちゃんの私物なのかは知らないけど、ベージュの大きいリボンとアイボリーと白の細めのレースのリボンもいっしょに編み込まれていて。
左耳の後ろでリボンがヒラヒラと揺れていた。
「わぁ……さすがナルちゃんだね。すっごくかわいい」
「そう?りっちゃんに言われると嬉しい」
お互いニッコリと微笑みあう。
それにしても、これはいったいどうなっているんだろう。
いつものことながら、何がどうなってこうなったのかイマイチ分からない。さすがプロ。
わたしなんて一生できない気がする。
「よし、じゃあ呼ぶ?」
「……? 誰を?」
いきなりのナルちゃんの言葉に思いっきり首を傾げる。
目的語がないと理解不能だよ?
「んーと、りっちゃんの呼びたい人」
「…………?」
ナルちゃんはいったい何を言いたいのだろう。
申し訳ないけど全く分からない。
呼びたい人?
わざわざ呼ぶぐらいならこっちから行けばいい話なのでは?