不純な理由で近づきました。



鏡の中にはカチューシャのように大きめに編み込まれた髪。


ナルちゃんの私物なのかは知らないけど、ベージュの大きいリボンとアイボリーと白の細めのレースのリボンもいっしょに編み込まれていて。


左耳の後ろでリボンがヒラヒラと揺れていた。



「わぁ……さすがナルちゃんだね。すっごくかわいい」


「そう?りっちゃんに言われると嬉しい」



お互いニッコリと微笑みあう。


それにしても、これはいったいどうなっているんだろう。


いつものことながら、何がどうなってこうなったのかイマイチ分からない。さすがプロ。


わたしなんて一生できない気がする。



「よし、じゃあ呼ぶ?」


「……? 誰を?」



いきなりのナルちゃんの言葉に思いっきり首を傾げる。


目的語がないと理解不能だよ?



「んーと、りっちゃんの呼びたい人」


「…………?」



ナルちゃんはいったい何を言いたいのだろう。


申し訳ないけど全く分からない。


呼びたい人?


わざわざ呼ぶぐらいならこっちから行けばいい話なのでは?






< 150 / 257 >

この作品をシェア

pagetop