不純な理由で近づきました。



確かに、声は素敵で、もっと聞きたい、知りたいって思ってわたしは恭くんに近づいた。


なんの幸運か今は友達になってくれて。


そう……嫌いなんかじゃない。


むしろ、なんだけど。


どうしてだろう……なぜか前みたいに純粋に『好き』って言葉を出すことができない。



「あー…まだつぼみの状態なんだ?」


「?」



つぼみ?



「そっかそっか、自覚なしかー」


「???」



じ、自覚なしって何?


悶々と悩むわたしをよそに、ナルちゃんは納得したかのように何度も頷く。


わたしは何がなんだか分からないんですけど。



「とりあえず、何かきょーくんがらみで相談があったらオレに頼ってね。

トモには絶対にしちゃダメだよ?危険だから」


「え?あ、うん」



思わずコクリと頷いた。


でも恭くんがらみって……なぜ?しかも危険ってどういうこと?


聞きたかったけど、ナルちゃんはケータイ片手にどこかへ行ってしまった。


「すぐ戻るから待ってて〜」という言葉を残して。






< 152 / 257 >

この作品をシェア

pagetop