不純な理由で近づきました。
どうしよう…どうしよう……っ…
「六花、どうした?体調でも悪い?」
軽く俯いていたわたしの視界にひょこっと恭くんの顔が映る。
至近距離にあった綺麗な顔にわたしは息を飲み、恭くんは少し驚いたように目を見張っていた。
「う、わぁ!い、い、いまは見ないでくださいぃっ」
顔が熱くて仕方がない。
ついでに体も熱いし心臓が忙しなくて苦しい。
こんなに慌てるような、あたふたした落ちついてないわたしを見せるなんて恥ずかしい。
それに耐えきれず両手で顔を覆って思わずしゃがみこんだ。
このまま消えてなくなりたい……
と普段では考えられないほどのネガティブ思考になっていると、そっと手首を掴まれて。
「ひゃ…っ」
「………」
痛くない程度の力で手が顔から引き剥がされてしまった。
反射的にわたしは恭くんの顔を見上げて。
こ、これ、ちょっと近くない、ですか?
顔同士の距離が近いというか……それだけじゃなくて体の距離も近い。
まとめると近いです。
うわぁ、どうしよおぉ……っ
頭はすでにパニック状態であたふたしているにも関わらず、体は全くと言っていいほど動かない。