不純な理由で近づきました。
困惑するわたしを見て、恭くんはなぜか吹き出した。
ちょ、なんでですか?
わたし、そんなに面白いことしました?
「や、ごめん。ちょっと楽しくなってきてさ」
「?」
……どこに楽しくなる要素が?
首を傾げるわたしに、恭くんの手が伸びてくる。
その行動を理解する前に、両手で頬を挟まれて顔を固定される。
「かわいい。六花はすっげーかわいいよ」
「っ!!」
ふわりと優しく、まるで愛おしむようなあたたかい手と笑顔に、カアァッと体温が上がる。
その上こ、この蕩けそうなバリトンボイス……一瞬意識が遠くなった。
「だから、ちょっと不安になる」
「……?」
不安……?恭くんが?
さっきの心地よい余韻に浸り、ポーっとする頭で何にだろう、なんて考える。