不純な理由で近づきました。
「あ、これおいしい」
初めて見たお店のものだとは思っていたけど。
甘さ控えめで素朴な感じの味がする。なんだか女の人だけじゃなくて男の人でも食べられそうな味。
ま、まさかこれも高いお店のものだったり……
「そんな高いものじゃないから大丈夫ですよ。これ、お豆腐で作ったって人気なやつなんです」
「お豆腐?」
あぁ、だから甘さが控えめな気がしたんだ。
お豆腐だとカロリーも低いだろうから、女の人にも人気がでるわけだし。
今度わたしも自分で作ってみよう。それで兄さんとナルちゃんにご馳走してあげようかな。
「イリアさんたちのショッピングっていつもこんな感じなんですか?」
毎回こんなに動き回って大変じゃないんだろうか。
それとも単にわたしの体力がないだけ……?
「そうですね。だいたいこんな感じです。イリアちゃんもサユちゃんもお買い物とか大好きですから」
へぇ、と思わず感心してしまう。
わたしは…正直に言って無理だ。今日このショッピングに付き合ってみてそれをしみじみ感じた。