不純な理由で近づきました。
兄さんともいっしょに買い物に行ったりもするけど、あんなに洋服を試着したこともなかったし。
兄さんは勧めてくるけどそれをわたしは一刀両断して……今回はそれができない雰囲気が出ていて。
だってイリアさんとサユさん2人がかりだったんだもん。迫力が兄さんとは比べ物にならなかった。
「六花さん。ずっと思ってたんですけど、ぼくは六花さんより年下ですし、敬語じゃなくていいですよ?」
……確かにそれは一理ある、というか普通はそうなんだろうけど。
でも、と躊躇うわたしにユスラさんは「敬語だとぼくも緊張しちゃいます」と少し笑って。
敬語は、まだ完全に抜けるのは難しいと思うけど頑張ろう。
兄さんやナルちゃんには普通に話してるんだし、大丈夫だよね。
それとユスラさんと言うのもヘンかと思い、ユスラちゃんと言うことにした。
それからしばらく普段のユスラちゃんの家のことや兄さんとナルちゃんとの思い出話などをして時間を過ごしていた。
話も途切れ、イリアさんたちの戻りが遅いから何かあったのかと2人で首を傾げたところでタイミングよくユスラちゃんのケータイが鳴った。
「もしもしサユちゃん?今?……うん、」
最後に分かった、と言ってユスラちゃんはケータイを切った。