不純な理由で近づきました。
「今、イリアちゃんとサユちゃんがこの中にある浴衣屋さんにいるみたいで来てって」
「浴衣?」
旅館で着るやつだろうか。
それならレンタルであるのに、と思いながらもわたしたちはイリアさんたちのいるというお店に向かった。
これまたわたしの知るような手頃なお値段の浴衣ではなくなんとなーく高そうなお店で。
浴衣って定価いくらぐらいなんだろう……無意識のうちに天を仰いでしまった。
「六花さん?」
「…ううん。行こっか」
不思議そうな顔のユスラちゃんに少しぎこちない笑みを向けてわたしたちは中に入った。
すぐに2人の姿を見つけたけど、声をかけるのを躊躇ってしまう。
かなり体力を削られたことは記憶に新しい。ハッキリ言ってさっきみたいなのは遠慮したいのですが。
ゴクリと覚悟を固めているうちにイリアさんがこちらに気づいた。
あの、輝く笑顔は……
サッと青ざめるわたしに対してイリアさんにつられて気づいたサユさんも笑みを濃くする。
もはや嫌な予感しかしない。
「ねぇねぇ2人とも!お店の人に聞いたんだけどね、明日この近くで大きなお祭りがあるんですってぇ!」
きゃあきゃあとはしゃぐイリアさんに、このお店に集合させられた意味を悟る。
つまり、
「だから浴衣を着てみんなで行きましょーう!!」
ということだ。