不純な理由で近づきました。
なんだろう。わたしの金銭感覚がおかしいのかな。
さっきまで某有名ブランドのショップを巡り、そこで数点×数十個のお店をまわり、そしてここにきての浴衣。
総勢かかった金額を考えただけで頭が痛い。その金額だけでうちの半年分の食費になりそう。
「ねぇーね!六花ちゃんはどれにするのぉ?」
「いや、」
別に欲しいと思わないのですが、という言葉を出すのが躊躇われる。
だってイリアさんもサユさんもユスラちゃんまでもがキラキラとした目線をわたしに……言い出しにくい。
「あたしはねー、ピンクとか女の子らしいものがいいと思うの!」
これはどう?とイリアさんが手に取ったのは白地に赤と濃淡のあるピンクをした大きな薔薇がデザインされているもの。
確かに女の子らしくてかわいいとは思いますが、
「派手、じゃないですか?」
そんなものを着たことのないわたしには少し、いやかなりハードルが高いような。
似合うとも思えないし第一着る勇気がない。
「そうかしら?このぐらいは普通よ。六花ちゃんは若いんだからこのぐらいはしなきゃっ!」
ほらほらと差し出してくるイリアさんに思わずたじろぐ。
というかそれならイリアさんだって充分に若々しいですけど……