不純な理由で近づきました。



た、確かにそんな感じだけど、本当にそれでいいんだろうか。


一か八かでわたしが止めに入ってもいいけど、そしたらわたしが2人の浴衣のどちらがいいか決めてと言われそうで怖い。



「ぼくはこれなんか六花さんに似合うと思いますよ」


「ユスラちゃんまで……」



どうしてそこまでわたしを着飾ろうとするんだ。


まぁまぁ、と言いながらユスラちゃんは持っていた浴衣を見せた。


ごく薄い水色を下地に、その中を泳ぐように描かれた赤い金魚が目に映える。


無難、というか…着やすさでは1番いいと思う。



「でも決めるのは六花さんですし、せっかくですからぼくは六花さんの選んだ浴衣を見てみたいです」



はにかむようにそう言ってユスラちゃんは自分の着る浴衣を選び始めた。


邪魔をするのも嫌だと思いユスラちゃんのところから離れる。


イリアさんとサユさんは……まだ言い合い中ですね。


喧嘩するほど仲が良いと言うけど、これもそうなんだろうか、と苦笑しながらわたしは店内をプラプラと移動していた。





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