不純な理由で近づきました。




「あ、そうだ白崎さん」


「はい?」



廊下で二人のあとを一歩下がったところを歩いていると、不意に枢くんがこちらを振り返った。



「ほら、恭を付きまとう話、うやむやになってたでしょ?」



あぁ、そういえば。


話がズレてその了解というか、『はい』か『いいえ』かを聞いていなかった。


でも常識的に考えてダメ、だよねー……



「そのさ、付きまとうっていうのはどうかと思うけど、ボクは白崎さんのこといいと思うんだ。
だから、」



ひょこっ、と顔を覗きこむようにして枢くんの顔が近づいて少し戸惑う。


後ずさりをしなかった自分を褒めてあげたい。


そんなわたしには気づかないように、枢くんはニッコリと笑顔を見せた。



「もしよかったら、ボクたち友達になろっか」



…………はい?



「え、と…友、だち?」


「そ、友達」



友達……


自分には縁のない言葉だと思ってたのに。



「ね、恭は嫌?白崎さんと友達になるの」



視線を移すと、そこには特に表情の変わっていない一ノ宮くんが。



え、なんで。


付きまとおうとしてた女の子が図々しくも友達になって下さいって言ってるんだよ?


普通、嫌がるなりなんなり不快な表情を見せると思うのですが……







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