不純な理由で近づきました。
*お祭り前の一息です



宿に着いてからは大変だった。


やっと帰ってこれたと疲弊した心身を休めようと思ってたところで遭遇した兄さんとナルちゃん。


どうやらわたしがいないからといじけて拗ねていた兄さんにナルちゃんは1日中付き合っていたみたい。


さすがにここまで来てそれに付き合わせるのも可哀想だから、と恭くんとカインくんは別行動だったらしい。


でも2人にも散々愚痴をこぼしたみたい。本当に申し訳ない。


ナルちゃんにも謝ったけど「いいよー。トモの我が儘には慣れてるからねー」と返ってきて。


本当に涙が出そうだよ……兄さんが不甲斐なさ過ぎて。


まぁそれは心の中だけで呟いておくとして。(口に出したら更に面倒なことになるのは目に見えている)


そういえば、と「明日、みんなでお祭りに行こうって話があるけど2人は大丈夫?」と聞けば途端に兄さんの瞳が輝いた。



「マジで?!行くっ」



と即答した兄さんは浮かれたまま浴衣を買いにお店に行ったという。(結局お店は時間の都合で開いてなかったみたいだけど)


少し考えれば分かることなのに、単調というか素直というかバカというか……かなり騒がしい。


これにはナルちゃんも苦笑していた。


カインくんと恭くんにはイリアさんたちが伝えたみたいで、夕食でみんなが集まったときに「お祭り楽しみだね」と言われた。


そこでも兄さんが浮かれすぎてうるさかったのは言うまでもない。





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