不純な理由で近づきました。
そしてお祭りの日、朝から兄さんがウザイ。そんなに嬉しかったのか。
でも思い返してみればお祭りなんて久しぶりだ。小中のときはいろいろと忙しかったし。
わたしの視線恐怖症のこととか兄さんの仕事のこととか……そう考えてみると浮かれるのも少し分かるかもしれない。
「お祭りっていつ頃行くのー?」
「イリアさんたちは夜からって言ってたよ」
なんでも夜は花火が上がるらしい。
だから暑い昼から行くよりは涼しくなる夕方から夜にかけて行こうという話になっている。
「じゃあそれまではゆっくりできるねー」
「うん。ナルちゃんも浴衣?」
「そだよー」
せっかくだしね、と言うナルちゃんに笑顔を返す。
ナルちゃんの浴衣か。どんなのだろう。
でもナルちゃんもかっこいいしどんな浴衣でも着こなすんだろうな。
恭くんとカインくんも然りだ。あの2人がどんなものを着るか知らないんだけどね。
「りっちゃんも浴衣でしょー」
「わたし?」
わたしは、どうなんだろ。
特に決めてはいなかったんだけど……考えてみればみんな浴衣だし、その中でわたしだけ洋服っていうのも目立つか。
旅館の浴衣でも借りて行こうかな。
「そうだ。どうせお祭りまで時間あるし、ちょっと2人で出掛けよっか」
ね?と言うナルちゃんに予定もなかったわたしは頷いた。