不純な理由で近づきました。



あんまり遠くに行くのも得策じゃないということで、話し合った結果、巷で知られているという通りへ。


歴史の感じる懐かしい雰囲気のする通りをナルちゃんと2人で歩く。



「結構いろんなお店あるねー」


「だね」



和柄の綺麗なハンカチや茶碗、他にもアクセサリーなどが並んでいて見ているだけで楽しい。



「あ、りっちゃんここ見ていー?」



ここ、とナルちゃんが指したのは少し大きな髪飾りの売っているお店。


他にもピアスやイヤリング、ブレスレットなどがあるけど、中でも簪やバレッタが多い。


目を輝かせて揚々と入っていくナルちゃんの背中を見ながら兄さんを思い出した。


兄さんも自分の興味のあるお店入って行くときこんな感じだ。


しかもそれって洋服の売ってるお店が多いんだよね。たまに生地とかがあるの手芸のお店もあるけど。


もはやこれは職業病って言っても過言じゃないような……そんなことを言ったらナルちゃんは否定するかな。


ちょっと苦笑しながらわたしもナルちゃんのあとを追ってお店の中に入った。


キラキラと照明に反射して煌めくガラスが綺麗。



「りっちゃんこっち」



おいでおいで、と手招きするナルちゃんに近づく。


ナルちゃんの見ていたものは簪で「やっぱり職業病だ…」と思ってしまった。





< 176 / 257 >

この作品をシェア

pagetop