不純な理由で近づきました。
それにしてもナルちゃん、ここでみんなが今日着る浴衣に合わせて髪飾りを買うのかな。
用意してるとか考えないんだろうか……
でも考えてみればナルちゃんはその道のプロ。
ナルちゃんに任せておいた方が確実だとみんなも分かっているのかもしれない。
「りっちゃんは何がいー?気に入ったのある?」
もうすでにみんなのは決まったのか、トレーにいくつかの簪やらピンやらの髪飾りが。
うーん、好みがあったり何かしらのこだわりがある人なら即決できるんだろうけど、わたしにはそういうのはないし。
それに自分に何が似合うとかも分からない。それならナルちゃんにお願いした方がいいかも。
「わたしは特に……ナルちゃんが決めて?」
「りょーかい」
何がいいかなー、と選び始めるナルちゃんに少し笑って、わたしは他の場所を見て回った。
透明感のあるガラスで作った雫形のピアス、夜空を閉じ込めたような紺碧のネックレス、薔薇のような形の指輪。
全部がキラキラと光っていてとても綺麗。
なんだかガラスって涼しげで夏っぽい。
……そういえばもうすぐで兄さんの誕生日だ。