不純な理由で近づきました。
この間「誕生日プレゼントは何がいい?」と聞いたら「六花との1日デート(はーと)」なんて言うものだから無視しておいたんだった。
でもさすがに何もあげないのは薄情というものだ。わたしのときはいろいろもらってるし。
何かないかな、とうろうろしてみるけどこんなところに男の人に似合うものが売っているわけもなく。
ナルちゃんはまだ見ていそうだし……少し他の場所を見て来てもいいかな。
いざとなれば連絡手段もあるし大丈夫だよね。
ちょっとだけ、とわたしはお店を出て見渡すと2、3こ先に良さそうなお店が。
軽く見てまた戻って来ようとそのお店に行くと、男性向けのお店だったみたいで兄さんに似合いそうなものがたくさんあった。
兄さんってばデザイナーのくせに普段の服って黒が多いんだよね。
だから周りが「クール」とか印象を持っちゃって……初めて会った人はその外見と内面のギャップに驚くとか。
まぁデザイナーなんてそんなに表に出る人でもないからいいのかもしれない。
「あ、これなんかいいなぁ」
でも少しお値段が……バイトも何もしていない平凡な女子高生にはちょっと払うのが厳しい。
せっかく兄さんのイメージにピッタリなのに。
「ナルちゃんにお金借りようかな」
それか2人からのプレゼントってことにするのがいいかも。うん、そうしよう。