不純な理由で近づきました。
わたしが目をパチクリと動かして、キョトンとしている間に二人の話はまとまったらしい。
「白崎さーん、恭もいいって」
「、え?」
い、いいんですか。
余程びっくりしていた顔をしていたのか、枢くんとあろうことか一ノ宮くんまで吹き出した。失礼な。
「ほ、本当にいいんですか?」
「いいよいいよ、白崎さん面白いし」
ね?と聞かれて一ノ宮くんも頷く。
「俺らの周りって見た目で群がってくる女子ばかりだから、お前みたいなやつは貴重だよ」
初めよりも柔らかな声に胸が高鳴った。
こんな優しい声でも話すんだ……
思わず聞き惚れていると、ふはっ、と隣で笑い声が。
………しまった、不覚。
かなり恥ずかしい。
「じゃ、じゃあっ…友達として、これからよろしくお願いします」
どうすればいいか分からないけど、おずおずと頭を下げて。
なんとなく気恥ずかしくて、わたしは先に行くということを伝えて教室に向かった。
一ノ宮くんと枢くんが教室に戻ってきたのは本鈴の二分前。
何も変わらない、いつも通りの様子。
でも入るとき、一瞬だけ一ノ宮くんと目があって。
こういう秘密っぽいことがなんだか特別な感じがして、胸のあたりが少しだけ、嬉しくてギュッとなった。