不純な理由で近づきました。

慌てて電話をかけるとナルちゃんとはすぐに繋がって、電話の向こうで安心したように息を吐いていた。



「ごめんね、ナルちゃん」


『んーん。りっちゃんが無事ならそれでよかったよ。じゃあ今はきょーくんといっしょ？』


「うん」



チラリと恭くんを見ると、恭くんはカインくんに電話しているみたいだった。



『んー、カインくんは？』


「え？いない、けど……恭くんと電話してるよ」


『あ、ならちょうどいいや』



いいこと思いついた、とばかりに弾むナルちゃんの声にわたしはキョトンとした。


何がちょうどいいんだろうと思っていれば、



『これから合流するのもなんだし、オレはカインくんと合流して旅館帰るから、りっちゃんはきょーくんと帰って来てね』


「、へ」


『じゃあそういうことだからきょーくんにも言っといてねー』


「は？ちょ、ナルちゃんっ」



そう言ったときにはすでにナルちゃんとの電話は切れていて、わたしは呆然としながらその画面を見ていた。