不純な理由で近づきました。
ナルちゃん、なんて強引な……
確かにナルちゃんの場所とか分からないから合流するのも時間がかかると思うけど、だからって恭くんたちを巻き込むなんて。
2人にも予定があったはずなのに……たまにこういうところがあるんだよね。
兄さんの悪影響が出ちゃったのかな。
はぁ、とため息をこぼすわたしに恭くんが電話を少し遠ざけて「どうした?」と聞いてきた。
なんて言おう……2人の予定があるならわたしはここを退散した方がいいんだろうけど、どうせナルちゃんはカインくんと連絡とると思うし。
それならここでさっきのことを伝えた上で恭くんと別れて先に旅館に帰ろうか。
「あの、ナルちゃんが、その…カインくんと合流して帰るからわたしは恭くんと戻るようにって……」
「は?」
う……やっぱり怒ってる、よね。
もうナルちゃんってば人の予定を考えないから。
「あの、ナルちゃんの言ってたことは気にしなくていいですから。恭くんとカインくんにも何か予定があったはずだし、わたしは1人で大丈夫ですよ」