不純な理由で近づきました。
だから気にせずカインくんと合流してください、と早々にこの場を離れようとすればきゅ、と手を掴まれた。
え、と恭くんを見れば視線が絡んでドキリと心臓が跳ねる。
「カイン、聞こえたか?」
あぁ、と一言二言話して最後には「うるせぇ」と恭くんは少し乱暴にカインくんとの電話を切ってしまった。
え、あの、合流は?
なんて思うものの口には出せず、恭くんに問うように見つめる。
「六花は?行きたいとこある?」
「え?と、特には…」
「じゃあ付き合って」
へ?と間抜けな顔で恭くんを見つめていると、掴まれていた手がスルリと指に絡んで柔らかく引かれた。
指と指の間に絡まるぬくもりにじわりと頬が熱くなる。
こ、これって、手の繋ぎ方、なんか……
「あ、の…カインくん、は?」
「ん、多分見風さんと食べ歩きでもしてると思うけど」
「えっ」
じゃ、じゃあカインくん来ないの?え?恭くんはそれでいいの?2人の予定は?
慌てて状況が飲み込めずあたふたするわたしに対して恭くんは楽しそうにクスクスと笑っている。
どうしてそんなに余裕そうなんだ……恭くんもちゃんと分かるように説明してくれればいいのに。