不純な理由で近づきました。
「じゃあ黒蜜アイスと抹茶で」
「ん、すみません」
恭くんが注文して少しすると「お待たせしました」と店員さんがテーブルにアイスやお茶などを並べた。
おぉ、と思わず心の中で声をあげる。
ちゃんとしたお碗に入った抹茶なんて初めて見た。向こうで点てて持ってきたのかな。
「おいしそうですね」
「だな」
いただきます、と言ってわたしはアイスを、恭くんは水羊羹を口に運ぶ。
さすが地元で有名とだけあってバニラアイスと黒蜜のこのバランスが堪らなくおいしい。
甘すぎない黒蜜のほろ苦さが好きなんだよね。
初めて飲んだ抹茶は思ったよりも苦い。
抹茶アイスとか抹茶のお菓子よりも苦めで、これならもう少し甘いお菓子を頼んでもよかったかもしれない。
それこそ水羊羹とは相性がよさそう。そんなたかるようなことはしないけど。
パクリとひんやりした甘いアイスを口に入れた。
「六花、それおいしい?」
「え?あ、はい」
「ならよかった」
安心したように表情を緩める恭くん。