不純な理由で近づきました。
ふわりと舞うのはナルちゃんの甘いバニラの香り。
わたしはそれを感じながらポカンと間抜けな顔をしていたと思う。
は、え?えっと、つまり、わたしは今日無意識のうちに恭くんと間接キ…
ボンッ!と音をたてて発火したわたしにナルちゃんは声をあげて笑った。
「ちょ、なんで笑うの!」
「ぷっ、いやいや、りっちゃんいい反応だなっーて」
やっぱり気づいてなかったねー、と笑うナルちゃんにますます恥ずかしくて顔が熱くなる。
というかそこまで笑わなくてもいいのに…ナルちゃんがこんなに爆笑するところ初めて見たかもしれない。涙まで浮かべてるし。
そ、それにしてもわたし、恭くんと間接キ…したってことだよね?そういうことになるんだよね?
あれ、もしかして、ってもしかしなくても恭くんはそれに気づいてた?
「あんま他のやつらにはするなよ?」と言っていた恭くんを思い出す。
それと付随してアイスを食べたあとの恭くんの唇が脳裏に浮かび上がってきて。
「っ、どんな顔して会えばいいか分からないよ…」
自分の想像力のなさが悲しい。ちょっと考えれば分かりそうなことだったのにあまりにも兄さんたちと普通にしてたことだったから全く気にしていなかった。