不純な理由で近づきました。



「オレらとしてるんだから気にせずふつーにすればいいと思うよー?」


「そ、そんなの無理だよ!」



相手は恭くんなんだよ?兄さんやナルちゃんはともかく恭くんなんだよ?!


気づいてしまった今、普通にできるわけがない。

わたしはそこまで気持ちをコントロールできるほど器用でもないし…うぅ、数時間前に戻りたい。


顔を赤くして項垂れるわたしにナルちゃんは楽しげに笑うだけ。


他人事だと思って…人の不幸を笑うなんてナルちゃんはたまに意地悪だ。


兄さんには常日頃意地悪だけどそれは相手が兄さんだから仕方がない。昔からそうだったし、それが2人のスタイルだ。



「ねぇ、りっちゃん」


「うー、なに?」



からかわれるのかと恨めしげに見上げれば、想像とは違ってナルちゃんは穏やかで優しい表情をしていて。


思わず目を丸くしていると前髪がサラリと横に流された。



「もし、今日食べさせあいをしたのがきょーくんじゃなくてカインくんだったら、りっちゃんはどう思ったかな?」


「、え?」



恭くんじゃなくてカインくんだったら…?





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