不純な理由で近づきました。
どうしてそんなことを言われるのか分からなかったけどナルちゃんの顔はふざけて質問しているようには見えなくて。
わたしは分からないながらもナルちゃんに答えようと真面目に考えてみる。
それはまぁ、カインくんは優しくて明るくて誰の目から見ても素敵な人だ。
友達になろうって言ってくれて、わたしにはもったいないぐらいのいい友達だし嫌悪とかは感じない、と思う。
でもそれは恭くんにも言えること。
恭くんも優しいし、カインのように周りを明るくするような性格ではないけれどとても魅力的な人。
それに実際に間接キ…しても嫌悪とかはないし、むしろ嬉しかった…とかわたし変態みたいじゃない?
深くまで考えてしまうと思考が横道に逸れてしまいそうで慌てて昼のことを頭から追い出す。
(でも、)
今想像してみて、カインくんが相手だったらそんなにも恥ずかしくない、かもしれない。あくまで想像の上で、だけど。
少なくとも顔を合わせるのにどうすればいいんだろうとか考えたりためらったりはしないと思う。
じゃあ、どうして恭くんと顔を合わせるのはこんなに気恥ずかしくなるんだろう……
考え込むわたしにナルちゃんはクスリと笑って。
「一度ここらへんでよく考えてみるといいよ。どうしてりっちゃんの中できょーくんだけが違うのか」
トモには内緒ね?と悪戯げな表情のナルちゃんにわたしは素直に頷いた。