不純な理由で近づきました。
もしかしてナルちゃんにやってもらったのかな、と考えてふと思い出す。
「そういえば兄さんとかカインくんたちはいいんですか?」
お祭りいっしょに行くって言っていたのに呼ばなくて大丈夫だろうか。
置いて行ったら子供のように拗ねる兄さんの姿が簡単に想像できて悲しい。
「あぁ、お兄ちゃんたちは現地集合です」
「そうなの?」
それならいいんだけど、と思うものの、同じ旅館にいるのだからいっしょに行けばいいのに、と思わないでもない。
人もいっぱいいるだろうし、合流できるのかな。
少し心配するわたしにユスラちゃんは「大丈夫ですよ」とニッコリ。
「お兄ちゃんたちはすぐ見つかりますよ。見た目がいいですから」
言われてみればなるほど、と納得してしまう。
そういえば兄さんも見てくれだけはいいからどこか遠巻きにされているか人混みの中心にいるかのどちらかだった。
あれって遠くから見てみると分かりやすいんだよね。覚えのあることにクスリと笑みがもれる。
「まぁ、分からなくてもケータイがありますからね。そんなに心配しなくても大丈夫ですよ」
「ふふ、そうだね」