不純な理由で近づきました。



似合う?とイリアさんたちと話しているカインくんは縹色の浴衣。


裾が濃く、上に上がるにつれて薄い色になっていき、濃いところには水の波紋を思わせる柄。


帯は藍色で、アイボリーの髪は綺麗にハーフアップにされていた。



「オレも久々ー。着る機会なんてそうそうないしねー」


「だな」



ふわふわした髪をちょんまげにしたナルちゃんは臙脂色(えんじいろ)の浴衣に浅葱の帯。帯に合わせたのか浴衣にも浅葱色の模様があった。


兄さんは器用に右だけ編み込みにした髪型に濃いグレーの浴衣と黒紫色の帯。


ナルちゃんと比べると地味だけど、少し開いた胸元から見えるシルバーアクセが目を引くからそこまで地味な感じはしない。


一応身内から見てもかっこいいし、って



「恭くんは?」



1人いないことに首を傾げているとみんなの目がこちらに向いて。


ビクッとなるわたしに兄さんが両手を広げて突進するけどナルちゃんがその前に首根っこを捕まえてくれたのでホッと息を吐いた。




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