不純な理由で近づきました。
ジーっと見つめられて、居心地が……
「あの、」
「あっ、ごめんね?二人が連れてきた子だったから気になっちゃって」
ペロ、と舌を出して謝られて、わたしは曖昧に返事をすることしかできなかった。
「名前、聞いてもいいかな?あたしのことはアリサって呼んでね」
アリサ、さん……
なんか、名は体を表すってこういうことを言うんだなって感じ。
枢くんの従姉弟なだけあって、その瞳の色は綺麗なグレー。
髪の色は自然なブラウンで、かなり短いショート。
平均よりも高い身長に、見事なプロポーション。
モデルと言われても納得。
むしろ違和感なさすぎる。
「わたしは白崎 六花です」
「六花ちゃん!見た目だけじゃなくて名前もかわいいね!!」
…………?
一瞬幻聴が聞こえたような。
気のせい、だよね。
わたしみたいなのがかわいいなんて……
うん。気のせいだ。そうに違いない。
そう結論づけて、わたしはみんなのあとをついていって奥の個室に移動した。
飲み物や食べ物を注文して待っている間、わたしは一ノ宮くんと枢くんと和やかに話していた。
「じゃあ、アリサさんってここの店長さんなんですか?」
「そーそ。だからボクたちには結構融通きくんだ」
「へぇ……」
まだ二十二歳って言ってたっけ。
わたしとそんなに年は変わらないのに……アリサさん、尊敬しちゃうな。
不意にコンコン、とノックの音が聞こえて、扉からアリサさんが入ってきた。
「はぁいっ、おまたせ!!」
「ありがと、アリサ」
どういたしまして〜、と笑いながらアリサさんはテキパキと食べ物をテーブルに広げていく。
サラダ、ピザ、フライドポテト……
こんなに注文したっけ。
食べられる自信がないのですが。