不純な理由で近づきました。



「そういえばお2人、屋台の射的で勝負をして白熱していましたよ」



わたしと恭くんがいなくなったあとそれに気づいた兄さんは残念そうだったけど割り切っていたみたい。


屋台で何かを買おうと提案したナルちゃんに賛成して歩いていたところにたまたま射的の屋台があって、ちょっとやってみよう、なら勝負しようみたいな流れになってそれはそれは盛り上がったらしい。


まぁお祭りだしその気持ちもわかる。しかも見た目はかっこいい2人が勝負をしていたらさぞ見栄えもよかったことだろう。



「屋台の人にも客寄せしてくれてありがとうって感謝されちゃいました」


「あははは……」



なんでだろう。その光景が容易に目に浮かんでしまうのは。


ちなみにその勝負は結局引き分けだったらしい。、(判定者は屋台のお兄さん)


そして撃ち落としたものはこの周りに散乱しているおもちゃやお菓子など。おまけのカード類はたくさんいた子供たちに配ったみたい。



「あ、じゃあそのピンも?」


「はい。射的のです」



さっきはなかったピンクゴールドの花をかたどったピンはユスラちゃんの可愛らしい雰囲気にぴったりだ。



「ナルミさんからもらったんです…」



嬉しそうに頰を染めてはにかむ姿にこっちまでほんわりと気が緩む。ユスラちゃん、すごく嬉しそう。


憧れの人にもらったからかな。女の子って感じでかわいいなぁ。






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