不純な理由で近づきました。
「あ、そうだ。カステラ買って来たの」
一緒に食べようと言えばユスラちゃんはニッコリと花のように笑って頷いてくれた。
それからしばらくユスラちゃんと話していると、後ろから「六花ちゃあん」とガバッと抱きつかれて思わず「きゃあっ?!」と声をあげてしまった。
この声は……
「えっと、イリア、さん?」
「えへへっ、せいかぁーい!」
ふにゃりとした声な耳をくすぐる。いつも以上に明るくて陽気な雰囲気に「?」が浮かんだ。
口調もなんというか、舌ったらずでかわいらしい…
「イリアちゃん、飲みすぎだよ?」
「うふふふふっ、え〜?」
顔を横に向けると楽しそうに笑っているイリアさん。その頰は綺麗に赤く染まっていて。
「……酔ってますか?」
「うん〜?」
キョトンとこちらに顔を向けたイリアさんは「酔ってないよぉ」とケラケラ笑っていた。
普段兄さんやナルちゃんはお酒を飲んでも滅多なことじゃ酔わない。お酒じゃなくて水でも飲んでるんじゃないかってぐらい顔にはでない。
だからわからないけど、この状態は完全に酔ってる、よね。
「イリアちゃん、お酒弱くって」
いつもこうなんです、と呆れたように言うユスラちゃん。
ちらりとみるとサユさんはナルちゃんとお話していて、兄さんも恭くんとカインくんと話し、て…って兄さんが一方的に何か言ってるような。威嚇してる?
……恭くんたち大丈夫だろうか。