不純な理由で近づきました。



お祭りで騒ぐ周りの空気から切り離されてシン、と場が静まる。


じわじわとたった今されたことが頭の中で繰り返されてわたしはこれ以上ないんじゃないかってぐらいに真っ赤になった。


わ、わた、わたしっ、イリアさんと……っ!!


相手は女の人だったしその上酔っ払いだったしカウントには入らないのかもしれない。


それでも初めてのことに(しかもみんなの目の前)
ふわああぁっ、と脳内がパニックになってしまった。


もぅ、今すぐここから消えたいぐらいに恥ずかしい!兄さんたちもいたのに!恥ずかしすぎて顔見られない!



「…ちょ、は?えっ、何やってんのイリアぁぁー?!」


「六花の純潔がああぁぁぁ!!!」



ぎゃーっと同時に叫んだのはカインくんと兄さん。


というかじゅ、純潔とか誤解を招くようなこと言わないでよ!


思わずそう怒ろうと思ったときにパチリと恭くんと目があってぶわ、とさらに顔に熱が集まった気がした。



「っ、わたし、お手洗いっ!」


「あ、六花さん!?」



カインくんたちの叫ぶ声、ユスラちゃんの制止の声を後ろに聞きながらわたしは逃げるようにその場から走り出した。





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