不純な理由で近づきました。



疑問を浮かべたわたしに相手さんも「うん?」と困惑したような表情で。



「さっきあいつ、あぁ、昼に君に会ったっていうやつからね。彼氏がいるって聞いたんだけど…」



もしかして1人で来たの?と聞かれたけど、わたしは間抜けなことにぽけっとしていた。


かれし……彼氏?恭くんが?わたしの?……彼氏?


ぶわっと自分の顔に熱が集中したのが見なくてもわかった。


暗がりでもその様子が見えたのか目の前にいる人はキョトンとしていて。



「ち、違います!恭くんはそんなんじゃ……!!」



あわわわわ、と必死にブンブンと頭を振って否定すると「ぶはっ」と噴き出された。


そ、それだけ必死だったのに…そんなに否定する姿がおかしかったのかと考えると羞恥から更に顔が熱くなった。か、顔が蒸発しそう……


心底楽しいというように笑うお昼の人と、それを迷惑そうにしながら好きなようにされている背の低い人、そして控えめにクスクスと笑っている隣の人。


えっと、よくわからないけど、馬鹿にされているわけではないんだよね?





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