不純な理由で近づきました。




いい香りだな、なんてぼんやりと考える。



「アリサさんこそ、手を出さないで下さいね」


「あら、どうして?
二人の彼女ってわけじゃないならいいじゃない」


「彼女じゃなくても友人ですから」


「アリサの魔の手から助けるのは当然だよね」



その間、三人はギャアギャアと言い争っていた。



え、と……よく分からないけど、



「わたしもアリサさんも女の子、ですよ?」



今の話を聞いていると、アリサさんがわたしを襲う、みたいな感じに聞こえて。


同性だから冗談に決まってるのに……



「あーダメだよ、白崎さん。それはアリサには通じない」


「はい?」



どういうことですか。


思わず首を傾げる。



「アリサの恋愛対象範囲は男も女も入ってるってこと」


「…………え」



本当ですか、という意味を込めてアリサさんを見ると、ニッコリと微笑まれた。


……どうやら本当らしい。



「で、でもわたしみたいな地味な子、アリサさんが相手にするわけ、」


「あら、六花ちゃんかわいいじゃない。
心配しなくてもちゃんとそういう目で見てるわよ?」



言うや否やアリサさんはわたしの顎を掴み、クイッと上を向かせた。


アリサさんの方が背が高いので、自然とわたしは見上げるようになり。



「あ、の……」


「ふふっ、寂しくなったらいつでもお姉さんが慰めてあ・げ・る」



同性のわたしまでクラッとくるような妖艶な笑みを浮かべ、アリサさんはわたしに近づき。


チュッ、と小さな音をたててわたしの唇の横ギリギリに口づけをして離れた。



「じゃ、三人ともごゆっくり〜!」



するだけして、最後はウインクと投げキッスを残してアリサさんは部屋を出ていった。






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