不純な理由で近づきました。
「ナルちゃん!!」
ガチャッと勢いよく扉を開けると仕事の資料らしきものをテーブルの上に広げてわたしをキョトンと見ているナルちゃんと兄さんの姿が。
きよは家でできるものだからとリビングでやっていてもらってよかった。ナルちゃんに頼みやすいし。
「どうした?何かあったか?」
そんな慌てて、と言う兄さんに「うっ」とちょっと言葉が詰まる。というか勢いのままに来ちゃったけどお仕事の邪魔しちゃったかな。
「え、っと…」
言い淀むわたしに兄さんはますます不思議そうにしてナルちゃんはわたしを見つめてニッコリと笑う。
「ふふ、せっかくりっちゃん来たしちょっと休憩しよっか。ね、トモ」
「だな」
テーブルの上の資料を簡単にまとめている2人にわたしはそそくさとキッチンに入りお茶の準備をする。
うぅ、このままじゃ勢いなくなっちゃいそう……
「はい、兄さん。ナルちゃん」
「サンキュ」
「ありがとー」
残念ながらお茶菓子になるようなものはなかったけど…まぁこの2人だしいいかと思いながらわたしもソファに座る。
「それでどしたのりっちゃん?何か頼みごとー?」
「ふぁっ?えっと、」
そわそわとやましいことは何もしていないのに何か悪いことをしてしまったような変な後ろめたさが……
兄さんたちが頑張って励ましてくれてもあんなに嫌がって拒否したことをしようと思ってるからかな。そう思うと本当に罪悪感が…