不純な理由で近づきました。
チラリと兄さんを見ると「ん?」と首を傾げていた。
でも、変わりたいって思ったのは本当だし、無理なんてしていない。この機会を逃したら一生無理な気がする。
「え、えっとねっ、」
「あ、そういえばちょっと離れたところに新しいケーキ屋さんできたの知ってるー?」
「へ、」
ナルちゃんの言葉に思わずキョトンとしてしまう。な、なぜ今その話を…?
「あー、あの結構有名なやつだろ?」
「そーそ。さっすがトモー、あそこのアップルパイ有名だよねぇ」
アップルパイ…あ、確か前に宣伝してたかもしれない。それに家にもチラシが入っていたような気がする。
全部自家製の材料でりんごも厳選したものを使っていてすごく美味しいと評判らしい。
「調度いいからトモがお茶受けにそれ買ってきてよー」
「はぁ?なんで俺が、」
「りっちゃんも食べたいよねー?」
こてん、と首を傾げて優しくわたしを見つめるナルちゃんにあっと思う。
「うん、わたし食べたいな…兄さん、だめ?」