不純な理由で近づきました。
ナルちゃんにつられてわたしも思わず笑みがこぼれる。でもそんな兄さんだからわたしはいつも助けられたりしてるんだよね。
「ナルちゃん、ありがとう」
ナルちゃんも周りをよく見ているからわたしの言いたいこととか察して先周りをしてくれて。
多分わたしがさっき兄さんもチラチラ見てたから兄さんには言いにくいことなんだと思って気を使ってくれたんだと思う。
兄さんと同じ、ナルちゃんもわたしのことをよく見て思ってくれるから助けられちゃうんだよね。
「んー?オレはりっちゃんと2人で話したいなーって思っただけだよ?」
ふんわりと笑顔を浮かべるナルちゃん。こうやってわたしの負担を軽くするみたいに言ってくれるナルちゃんが優しくてついつい甘えてしまう。
すとん、とナルちゃんの隣に座ると甘いバニラの香りがして擦り寄る。もう一度お礼を言うととナルちゃんはあたまを撫でてくれた。
「それでりっちゃんの話したいことってなぁに?」
「そうだった。ね、ナルちゃん、もしよかったらね…」
「んー?」
サラリ、長い前髪が揺れる。
「前髪…切ってくれないかな?」