不純な理由で近づきました。
「…………」
「…………」
「…………」
く、空気が重い。
どうしようかと思っていると、枢くんがガバッと頭を下げた。
それはもう効果音がつきそうなほどに。
いきなりのことに、わたしは唖然。
「本っ当にごめん!!
アリサのこと、あんなんで……」
「べ、別に気にしてないですよ?」
驚いたのは確かですが。
「いや、でもごめん。
アリサがそういう恋愛アリなのは知ってたけど、まさか白崎さんを好きになるなんて……」
「予想外だったな」
深刻そうにため息をつく二人だけど、本人はあまりその危険度が分かっていない。
だって、あれは冗談だと思ってるし……
でも、真面目…なものだったのかな。
「とりあえず、これからアリサには気をつけて!」
「喰われないようにな」
笑い飛ばそうかとも思ったけど、二人の顔があまりにも真剣だったので。
わたしも表面だけは真面目に頷いておいた。
「じゃ、せっかくだし食べよっか」
「そうですね」
それからはお互いのことを話したり、好きなものについて語ったり。
家族のことについても教えてもらった。
一ノ宮くんは予想通り一人っ子で、枢くんには姉妹がいるらしい。
姉が二人に妹が一人。
一ノ宮くん曰く、枢くんが学校で女の子に優しいのはその姉妹の教育の賜物だとか。
「でもそのせいで、女のいろんなところを知っちゃって、夢も持てずに学校で媚び売ってくる女に対してバリア張ってんだけどな」
「そう、なんですか?」
「それ本人に聞いちゃう?」
そう言いながら苦笑しているところを見ると、どうやら本当らしい。
なるほど。
枢くんみたいにかっこいいのに浮いた噂がないのは、バリアを張って女の子を避けているからなんだ。
納得納得。