不純な理由で近づきました。
*ドキドキ…わたしだけなんでずるいですっ
ドキドキと高鳴る心臓を感じながら駅へと小走りで向かう。今の時刻は1時。約束の時間なのに…
(それもこれも兄さんのせいなんだから!!)
ギリ、と無意識のうちに拳に力が入った。
遡ること少し前、旅行に行ったときにイリアさんやサユさんからもらった洋服の中からあれこれと悩みながら選んだものを着て髪も結い終えると、同時に時間に余裕を持って行こうかと家を出ようとしたとき運悪く兄さんが帰ってきてしまい。
なんでも忘れ物をしたとか言ってたけどわたしの格好を見るやいなや何か悟ったのか「行くな!いや行かせるものか!!」とまさかのシフトチェンジ。
兄さん仕事はどうした、と思いながらわたしもわたしで兄さんの説得が意味なく通り過ぎ時間も迫ってしまいちょっと声を荒げてしまい。
結局一緒に来ていたのだろうナルちゃんに兄さんを回収してもらって一安心していたら結構時間が経っていて慌てて家を出てのこの状況。
でもこれならあと5分もあれば着きそうだし連絡はいいかな。早く早くと足を進めて駅に着くと恭くんがいてほっと息を吐いた。
「きょ、くん…っ」
息を乱したまま近づいて名前を呼ぶと驚いたように目を丸くする恭くん。確かに、やっと来たわたしがこんなに満身創痍だったら驚いても仕方ないと思う。