不純な理由で近づきました。
1人あたふたと慌てるわたしにやっぱり楽しげにクスリと笑う恭くんに頰が火照った。
「ここ、毎年やってるんだよ」
「え、そうなの?」
知らなかった…まぁあまり外に出る用事もなかったしわたし自身どちらかというと外出しない方だから当然と言えば当然なんだけど。
「小さい頃から親によく連れられてたから六花も喜ぶかなって。喜んでもらえてよかったよ」
どこか甘い雰囲気で微笑まれてドギマギしてしまう。こ、こういうのも嫌い、ではないんだけども、なんというか、そわそわするというか耐えられないというか…とにかくじっとしていられないというか。
こういうのも恋心がなせる技というやつなのかな、って想像したら余計に恥ずかしいっ…!
自然と火照る頰を冷ますように手を当てているとクスクスと笑われてしまった。ううぅ、最近恭くんによく笑われるような気がする…
少し休憩やお喋りを挟みながらのんびりと展覧会を見回っていく。
「あそこ寄ってくか?」
恭くんに言われて出口の近くにお土産屋さんのような出店があったのに気づいてわたしはもちろんと頷いた。