不純な理由で近づきました。



そういわれてみればそのような気もするような…?自分では全然そういう意識はなかった。


しかもそれって恭くん限定じゃないだろうか。カインくんにはまだ敬語だったと思うし、ユスラちゃんは別としてイリアさんもサユさんもそうだし…もちろんこの2人は年上だからという理由もあるのだけど。



「無意識っぽいな」


「はい…無意識でした」



もしかして不快だったのだろうか。馴れ馴れしいとか思われちゃった…?


気にはなるけどそう言われたら立ち直れなさそうで怖くて目を閉じてしまう。


あぁ、わたしってこんなにうじうじしているタイプだったっけ。一番最初に恭くんたちに接触しようとした時の度胸を少し分けてほしい。


結局何も言えずに俯くと名前を呼ばれておずおずと目線を上げる。すっ、と手を伸ばされて耳の上あたりに何かを差し込まれたような感触がしてびっくりしてしまった。え、なに?何されたの?


ぱちくりとまばたきをすると恭くんは何かを決めたときのように頷きまた手を伸ばしてきたので目を合わせるのも恥ずかしいなと目を閉じた。


差し込まれたものが抜かれる感じに目を開けようとしたらピンッとおでこに感じた小さな痛みに思わず声をあげてしまう。すごく痛かったわけではないけどいきなりされるとびっくりすることこの上ない。





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