不純な理由で近づきました。
何をしようかと悶々と考えてふとナルちゃんに昨日言われたことを思い出す。
「これするときょーくん喜ぶよー」とニヤニヤしていたけどその前にわたしがそんなことできると思わなかったし、そんなので本当に喜ぶのかと半信半疑だった。
でも喜ぶかどうかはともかく驚きはするかもしれないとうんうんと心の中で頷く。
さすがに今するのはちょっと恥ずかしいし帰り際にでもしてみようかな。それならすぐ帰れるし…その前にあれも渡さないといけない。
想像するだけで楽しくなって自然と口元が緩む。ふふ、と笑ったわたしに恭くんが柔らかい視線を向けていたけどそれにわたしが気づくことはなかった。
ここまででいいから、と来るときに待ち合わせた駅で別れることに恭くんは家まで送ると言ってくれたけど今日は恐らく家に兄さんがいるんだよね。
来るときに一悶着あったし、恭くんまでいたら根掘り葉掘り聞かれることは決定事項…そんな面倒事に恭くんを巻き込むわけにはいかない。本当に面倒だから兄さん。ぜめてナルちゃんがいてくれることを祈る。
断固拒否の姿勢を崩さずにいると渋々ではあったものの恭くんが折れてくれた。ごめんね、恭くん。
「あ、ちょっと待って!」
別れる前にといそいそと兄さんたちに買ったお土産の袋から片手に収まるほどの小さな包みを取り出す。
「これ、よかったらもらって?」