不純な理由で近づきました。
今日のお礼に、と差し出すと受け取ってくれてちょっと見つめてから開けてもいいか聞かれたので頷く。
カサカサと音を立てて開けられた中から出てきたのはブックマーク。シンプルなシルバーで深い青とエメラルドっぽい色のガラスのチャームがついているもの。
恭くんは本を読むし、それぐらいなら持っていてもおかしくないと思って買ったんだけど……反応がないのが怖い。え、もしかして気に入らなかった?それともこれじゃお礼にならない?!
あわあわとうろたえているとほんのりと頬を染めた恭くんがいてポカンとしてしまった。もしかして照れてる…?でもどこにそんな要素があったのか。
一通り思い返して考えてみるがどこにあたるのかわからず、だけどなんだかつられてわたしまで赤くなってしまう。
「あ、あの、」
「あー、悪い。俺今日が誕生日だったから嬉しくて」
「へ?そ、そうなんだ、誕じょ…」
うん?たんじょうび……誕生日!?!
「きょ、恭くん、今日が誕生日だったのっ?!
「ん、」
渡したブックマークを嬉しそうに見ながら軽く答える恭くんにわたしは固まっていた。
だ、だって、好きな人の誕生日も知らなかったなんて…それにあくまで今日のお礼って思ってささやかなブックマークにしたのに…誕生日だって知ってたらもっとよくあれこれ考えて決めたのに!