不純な理由で近づきました。
*少し近づけた気がします
今日は不思議なことに、目覚まし時計が鳴る前に目が覚めた。
カーテンから窓を覗けば、今日も気持ちのよい青空が広がっていた。
昨日のことがあったから、余計にそう見えるのかな……
気持ち一つで景色が百八十度変わってしまうなんて不思議。
グッと背伸びをしてからわたしは制服に着替えた。
夜のうちにハンガーかけておいてよかった。
おかげでシワも全く目立ってない。よかった。
階段をおりてリビングに向かうと兄さんが朝ご飯を作っていた。
「おはよう、兄さん」
「お。おはよー六花」
お皿の準備をしてからコーヒーを入れる。
わたしの家は両親共働きでほとんど家に帰ってこない。
というか、わたしが高校に入学してからあの二人
『もう大丈夫よね!』
とか言って海外に仕事に行ってしまった。
なんでも新婚気分をもう一度味わいたいの、とかなんとか。
子供であるこちらが恥ずかしく思うぐらいのラブラブっぷりだ。
兄さんの作ったフレンチトーストとサラダ、ウインナー、ヨーグルトなどをテーブルに並べ、向かい合って食べる。
「あ、そーだ六花。今日の夜は遅くなるから夕食作ってくんね?」
「いいよ。またアイディア浮かばないの?」
「おーよ。家にはできるだけ持ち込みたくないからなぁー……」
兄さんの職業はデザイナー。
と言っても少し特殊で世に言うところのロリータ?やゴスロリなどの衣服限定らしい。
ブランドもあるんだとか。
その世界では結構有名とか聞くけど、わたしは全く知らない。
でもお金に困っていないところを見ると、給料はいいのでそれなりなのだろう。
「夜、何が食べたい?」
「カレー」
「うん、分かった。お鍋いっぱいに作るね」
「食える分だけにしてくれよ」
とか言っていつも全部食べるくせに。
ヘンなところで兄さんは優しいから好きだな。