不純な理由で近づきました。
いや、それは友達になったけども。
……こういうのって、いいのだろうか。
自分の株を下げるような結果とかにならないのかな。
それとももともと気にしない質なのか……
「カインのこと、特に何か考えて行動してるわけじゃないと思う」
「あ、恭くん」
おはようございます、と言えばおはようと返してくれる。
カインくんと一緒に席には行かないんだ、とぼんやり思った。
そして、朝からなんて素敵なバリトンボイス。
さっきの無駄に高い声とは大違いだ。
あぁ、これだけで今日一日頑張れる。
「カインくんって、意外に神経の図太い人だったんですね」
王子さまなんて言われてるから、もっと軟弱なのかと思ってたけど。
先入観はいけないな、うん。
「図太いぐらいじゃないとあの姉たちと一緒に暮らせねぇよ」
そういえばカインくんのお姉さんたちって強烈って言ってたっけ。
なるほど。説得力がある。
「あ、白崎って昼休み暇か?」
「? 特に用事もないですけど」
何せ昨日まで友達もいませんでしたから。
「よかった。じゃあ昨日の空き教室に集合で」
「え?あ、はい」
わたしの返事を聞いて、恭くんも自分の席に向かった。
………えーっと、これはお昼に誘われたってことでいいのかな。
自惚れでなければそうだと思っていいのでしょうか。
……まぁいいか。
どうせお昼休みになれば分かることだし。
それから恭くんとカインくんはいつも通りクラスの中心で。
わたしは音楽を聴いて朝の時間を過ごした。