不純な理由で近づきました。
そういえば、兄さんも結構喋る方だな……
もともとわたしたちの母さんがお喋りな性格で、父さんは超がつくほどの寡黙な人。
その遺伝子が見事に分けられている。
兄さんは見た目が父さんで中身は母さん。
わたしは逆で見た目が母さん、中身が父さん、みたいな?
父さんほど寡黙ではない自信があるけど。
「そうだ、六花ちゃん。ケータイ持ってる?」
「あ、はい。ありますよ」
そう言えばカインくんはニッコリと笑った。
「じゃあメアド交換しようよ。ほら、恭も」
「あぁ」
その言葉にわたしも頷く。
わたしのアドレスって家族とナルちゃんしか入ってないからな。
いつかは友達のも登録したいと思ってたんだよね。
嬉しいなぁ。
まぁ、男の子だって分かったら兄さんに怒られそうだけど。
で、でも二人は友達だから、大丈夫……なはず。
二人の名前の入ったアドレス帳。
やっぱり嬉しい。
緩みそうになる頬を押さえてご飯を食べ終える。
「そろそろ時間だな」
恭くんの言葉で時計を見ると、あと少しで予鈴が鳴る時間。
楽しい時間ってあっという間に過ぎてしまう。
立ち上がった二人に続いてわたしも教室から出る。
そのまま他愛のない会話をしながら廊下を歩いていると、ふと視線を感じた。
それも一つや二つじゃない。
そっと周りを見てみてなるほど。
カインくんと恭くんは言わずもがな、みんなが無条件で認めてしまうようなイケメンで。
そんな二人と歩いていたら、そりゃわたしも注目浴びるわけだ。
朝も思ったけど、二人はこういうのを気にしない質なのだろうか。