不純な理由で近づきました。




キョトン、としたわたしに恭くんは笑った。



「別に嫌とかじゃない。
ただ、俺がついてってもいいのか?」


「? よくなかったら誘いませんよ?」



わたしもそこまで人できてないし。



「ふーん……白崎ってイメージ的に、自分のテリトリーに他人は踏み込ませない人だと思ってた」



あぁ……それは、あるかもしれない。


自分の領域にズカズカ入り込んでくるような人はちょっと苦手意識がある。


でも、



「恭くんは友達でしょう?」



そう、恭くんは友達。他人じゃない。


友達って、今となってはわたしにはいまいちよく分からないけど、他人よりも近くにいる人だと思ってる。



「友達だから、自分のことに興味を持ってくれるなら教えたいと思うし、相手のことを知りたいと思うから、いろいろ聞くんじゃないんですか?」



あくまでこれはわたしの考えであって、一般の人や恭くんがどう考えているのかは分からない。


だから最後は少し自信なさげになってしまったけど言いきった。


恭くんがどんな反応をするのか気になって、少し心臓が早くなる。


まるで悪いテストの結果を親に見せて、どういう反応が返ってくるのかを待つ子供の心境……



「……白崎は、いいやつだな」


「、は?」



いきなりのいいやつ発言にわたしはポカン。



「ちゃんと自分を持ってて流されない。
相手のことを外見だけじゃなくて、内面までちゃんと見ようと努力してる。
そんで歩みよろうとしてくれる。
そういうとこ、尊敬する」



とても柔らかな声で、しかも極上の笑顔つきのこれに、果たしてときめかない女の子はいるのだろうか。


……いや、いないでしょう。


現にわたしもかなり照れてる。







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