不純な理由で近づきました。
「兄さん、よくその気持ちが分かったね」
「そりゃ俺もモテるし」
「……確かに」
否定できないわ、とわたしは兄さんを見つめた。
身内贔屓かもしれないけど、わたしの目から見ても兄さんはかっこいいと思う。
黒髪に黒い瞳はさすが兄妹、わたしと同じ。
だけど兄さんはわたしと違ってちゃんと整った顔をしていて、わたしとはあまり似ていない。
まぁ、似た人が違うから当たり前と言えば当たり前なのだけど。
……決して負け惜しみじゃないから悪しからず。
その上兄さんは髪に白いメッシュをお洒落に入れている。
体つきだって、男の人にしては少し細身だけど筋肉はしっかりついている。
なぜそんなことを知ってるのかというと、この人お風呂上がりはいつも上半身裸でいるからだ。
だから決してわたしが好き好んで見ているわけではない。ここ重要。
………それはまぁモテますね。
でもわたしが知る限り、この人に浮いた話はない。
なぜなら……
「六花がいれば彼女なんていらないけどなぁー」
なんて人目も気にせずに言うほどのシスコン。
見た目がコレなだけに周りはさぞやガッカリだろう。
しかも兄さんと違って見た目がいいわけではないわたし。
兄さんに好意を寄せてくれた希有な女の人たちに謝りたい。
「まぁ結論。その女たちからしたら恋愛感情の有無なんて関係なし。
ただそばにいる六花が自分たちよりも特別に見えるから気に入らないってだけの話だろ」